初めまして、真銅祥一朗建築設計事務所の真銅と申します。
この回では私が思っている“中庭のある住まい”について数回にわたってお話していこうと思います。
まず本題に入る前にですが、皆さんは住まいに何をもとめていらっしゃいますでしょうか?
例えば住まいの外観に関して言えば“かっこいい”や、“やわらかいイメージ”とか、
或いは“斬新なデザイン”などでしょうか。また住まいの中身に関して言えば“居心地が良い”とか“使いやすい”、或いは“やわらかいイメージ”や、“落ち着いた雰囲気”など、人によって好みや理想は実に様々だと思います。
そう言った中、私は住まいを設計する際、“自然体で居心地が良い”ということを当たり前といえば当たり前のことなのですが、これまで特に重視して設計活動をおこなってきました。
そして私が思うところの“自然体で居心地が良い”を作ろうと思うと住まいや生活の中に”植物(木樹や草花)のある快適な外部空間”が必要不可欠であると考えております。
もう一つは、普段の仕事のエリアとして大阪を中心とした都市部の住宅地で計画を行うことが多く、常に隣接する建物との距離が近くなります。
このような条件下で敷地の北側に建物を配置し、南側にお庭を設けるというような一般的な平面計画を行うとプライバシーの確保が難しく、私が理想としている快適な生活空間は成立しにくいと考えております。
このように“植物のある快適な外部空間を持ちたい”と言うこと、もう一つは“都市部の密集地における住環境の在り方”という大きくは2つの理由と、後は付随するその他様々な条件や制約をクリアし、快適な暮らしを提供する一つの解決方法として、必然的に私は“中庭のある住まい”を選び、結果的にこれまで比較的割合には多く設計してきたということになります。
単に“中庭が好き”という理由だけで中庭のある空間を設計している訳ではなく、あくまで“自然を感じることのできる快適で落ち着いた住空間がほしい”ということを一番大切にしております。
因みに“中庭のある住まい”ばかりを設計しているわけではなく、そのあたりは敷地の状況や要望に応じて、その都度ケースバイケースということにはなります。
それでは次回から実際に中庭を持つ計画にどのようなメリットがあるかをお話していきたいと思います。
建築家 兵庫 真銅祥一朗氏 / 真銅祥一朗建築設計事務所
※写真:上野芝のコートハウス