滋賀県大津市敷地は60年代後半に開発された比叡山中腹部に位置する住宅地にある約200坪弱の土地。 周辺は開発当初からある大きな区画地の家と最近売り出された小区画の家とが混在しつつも比較的緑が多い環境に恵まれた地域である。 この家はごくプライベートな別荘をイメージして計画された。住み手は50代後半女性の単身者で庭の景色を生かした広々した生活空間を望まれた。 当時は同じ敷地内にある築50年以上の旧家屋に住まわれており、その家及び庭の木々(桜4本、紅葉、楡、クヌギ、ナンキンハゼ、他中小木数十本)を残した増築が条件であった。従って、最も苦心したのが新家屋の配置であった。 大きな木をよけつつ北西部敷地境界線ぎりぎりに寄せて配置した家屋から庭を眺めると、どの場所にいても様々な木々が眺められる。例えばキッチンでの作業中はアプローチのバラの木、マユミ。リビングからは山桜、しだれ桜、紫式部。寝室からは紅葉、楡、しだれ桜。浴室からはナンキンハゼとクヌギ…といったように。 外観は平屋に違い棟の大屋根をかけ板壁と左官壁の構成で周囲の自然との調和を目指し、内部は26坪の平面を引き戸のみで間仕切ったシンプルなプランである。 分類 建築家とつくる家 和モダン住宅